2025年9月16日、千葉県の日出学園高等学校にて授業を実施しました。
この日のテーマは「コンテストの振り返りと内省」。
コンテストへの応募を終えた生徒たちと共に、制作プロセスを振り返り、学びを言語化する時間を設けました。
なぜ「振り返り」なのか
コンテストに向けて作品を作って、提出して、終わり。
単発講座はこれまでもおこなってきましたが、本当にこれでいいのか、本当の学びは、「作った後」にこそ深まるのではないか、と考え、今回カリキュラムの中に「振り返り」を組み込みました。
自分が何にこだわったのか。
どんな工夫をしたのか。
どこで悩み、どう乗り越えたのか。
それらを言葉にすることで、初めて「経験」が「学び」へと変わっていきます。
自分の作品を言語化する

まず取り組んだのは、自分自身の作品についての振り返りワークです。
生徒たちには、次のような問いに答えてもらいました。
- 作品のどこにこだわったか?
- 制作していて一番楽しかったことは?
この問いに対し、ワークには次々と文章が。
「作ったものの配置。本の世界を3Dにしたため、どうしたらきれいにみえるか、おもしろそうに見えるかを工夫した」
「旅のドキドキを表現するために扉をたくさんつくったこと!」
「クリスタル、星や惑星などの浮遊物の質感。ネガティブの使い方、反射の仕方の工夫、形状など」
「どのような内容(ストーリー)を作るか考えたり、自分の作りたいものが少しずつできていくのを見たり改善していくのが楽しかった」
など、たくさんの想いが言語化されました。
作品の裏側には、それぞれのストーリーが刻まれています。
他者の作品に向き合う
次に取り組んだのは、コンテストに応募された全作品を見ながらの講評ワークです。
構図、アイデア、文章など、選ぶ基準はお任せ。
どの作品を選ぶ?と、審査員になりきってもらいます。
ここにも個人の感性が宿ります。
自分はどんなところがいいと思っているのか。
どんなところに惹かれるのか。
他の子の観点の違いはどんなところか。
自分以外の誰かが作った作品に真剣に向き合い、その良さを言葉にしていく。
このプロセスは、自分の価値観と向き合う重要な時間です。
生徒たちからは、
「一つ一つの小物が細かく作りこまれている。花やモビールの影やライトが表現されていた。ストーリー仕立てになっていて素晴らしい作品!」
「単色(黒一色)でほどんど構成されているのに、凸凹や質感、光の当て方でわかりやすく表現されている。色を絞ることで統一感が出ている」
「脱日常というのがおもろい発想。非常口のピクトグラムが脱日常に行っているのがおもろいと思った」
「ドールハウスのような可愛い表現で、ライトや壁の穴など宇宙モチーフになっているのが細かい。とてもかわいい!」
などの意見が。
選んだ理由を具体的に言語化してくれました。
他者の作品を観察し、その魅力を言語化する中で、観点を養っていきます。
そして何より、作品の向こう側にいる「作り手」への敬意が生まれていきます。
対話が生む化学反応
振り返りワークの後は、感想を共有する対話の時間を設けました。
初めは緊張している様子でしたが、問いかけていくうちに少しずつ話してくれます。
こだわったところ、大変だったところなど、自分の作品について語り、相手の作品について聴く。
作って終わりではなく、振り返りと対話があるからこそ、自分の作品への思い入れが深まります。
言語化することの価値
3DCGは、本来頭の中のイメージを言葉ではなく形や色で表現していく「非言語的」な表現活動です。
しかし、その非言語的な創造活動だからこそ、「言語化」することに大きな価値があると私たちは考えています。
言葉にすることで、漠然とした感覚、感情、感性が明確になり、経験を学びに変えていけます。
今回、生徒たちが書いてくれた振り返りシートには、制作プロセスや仕上がった作品をみるなかでの学びがぎっしりと詰まっていました。
この言葉たちは、間違いなく生徒たちの財産になるはずです。
3回の授業を通して
第1回の基礎学習では「できるんだ!」というワクワクを。
第2回の作品制作では「もっとやりたい」という探究心を。
そして第3回の振り返りでは、自分の感性の発見を。
3つのステップを経ることで、生徒たちの学びは確実に深まっていきました。
点ではなく線でつながる学びが、生徒たちの成長を支えたのだと実感しています。
作品を作ること。 そしてそれを振り返り、言葉にすること。
両方があって初めて、経験は深い学びへと変わっていくのです。
私たち学びラボにとっても、コンテストのための単発講座ではなく、生徒たちの学びに伴走できる貴重な機会となりました。
みなさんの作品と、その作品に込められた想いに、私たちも大きな刺激と学びをいただきました。
これからも、生徒たちの創造性が花開く瞬間を、一緒に見届けていきたいと思います。
本プログラムの実施を通して得た経験を糧に、これからも子どもたちの可能性を広げる活動を続けてまいります。
日出学園の先生方、3回にわたる取り組みにご協力いただき本当にありがとうございました!




