2025年10月17日・18日にかけて、学びラボが提供するプログラム「学園祭データサイエンス」の取り組みが実施されました。

学園祭における来場者や購買情報のデータをデータサイエンス学習に活用する本プログラムですが、
今回は福島県郡山市にある郡山北工業高等学校で初の実施となりました。

学校の生徒、教員だけでなく、地域を巻き込む教育プログラムとして、いったいどのような成果が得られたのか。
概要とともに、そのメリットについてお伝えしていきたいと思います。

学園祭データサイエンスとは?

簡単にご説明しますと、
本プログラムは「文化祭の来場者に紐づくデータ(年齢・性別といった属性情報や購買行動など)を学校が発行した疑似コインの使用履歴に基づいて可視化し、生徒・教員のデータサイエンス学習に活用する」
という内容のものです。


まず文化祭当日の流れから見ていきましょう。

✅ 学園祭データサイエンス:当日の流れ

①受付でLINE登録を行う
まず来場者は文化祭受付で用意されたQRコードから学校の公式LINEアカウントを追加し、自身の会員証(QRコード)を発行します。
この際にアンケートにご回答いただくことで、性別や年齢といった属性情報が自動で学校側の管理しているGoogleスプレッドシートへ保存されます。
同時に一定量の疑似コインが手持ち分として付与されます。

②会員証(QRコード)を持った来場者が展示の受付でQRコードを読み取る→帳簿で「疑似コイン」の処理が行われる
各展示の受付に設置されたQRコードを読み取ることで、来場者に付与されている疑似コインが差し引かれ、その取引記録がスプレッドシートに記帳されます。

上記の手続きにより、誰が・いつ・どこで・どの順番で展示を見たのか、その情報がコインの減り方とともにすべてデータ化され、検証可能なかたちで記録される仕組みです。

ここで得られたデータを、次年度以降の学園祭で生徒・教員がマーケティングの企画検討の材料として扱えるスキルを育むことが、本プログラムの目的となります。

またその達成のために、イベントの準備段階で学びラボから派遣する専任講師による特別授業を実施しています。

これにより、「いかにして数値目標を設定しそれを達成するか」を考えるための実践的なノウハウが得られることもプログラムの大きな特徴です。


※学園祭データサイエンスプログラムの仕組みの詳細については過去の記事をご参照ください。
https://manabilab.or.jp/highschool_datascience_program/

専任講師による出張授業でデータサイエンスのイロハを指導

導入年度は過去のデータがないため、簡略化したプログラム内容となります。

さて、今回は郡山北工業高校にて、文化祭前日に特別授業を行いました。

プログラム全体の流れは上に示した通りですが、この授業は分析から仮説づくりのフェーズに位置しています。

生徒たちはパソコン上のスプレッドシートと向き合いながら、活発なディスカッションを行う中で、

「分析に必要な属性データは何か?」
「LINE公式アカウントにはどんな機能を持たせるべきか?」


といった具体的な検討事項を挙げて、ひとつひとつ精査していきました。

講師のアドバイスの下にさまざまなアイデアを出し合い、抽象から具体へ発展させていくプロセスを集中して行うことで、
より実効性のある企画を立案することができます。

最終的に、LINEには「案内用チャットボット」や「展示への投票機能」などを盛り込むことが決まりました。

「どうすれば学園祭をより楽しめるか」という来場者の視点を取り込みながら、その行動をデータに落とし込む方法を検討した結果、
サービスの具体化に成功したかたちです。

👇完成したLINEのリッチメニュー

疑似コインの名前はキタコバンになりました


単に講師が教えたノウハウをそのまま用いるのではなく、主体的に「もっと有効なアプローチはないか」とブラッシュアップしていく経験は、将来的にビジネスの現場でも活かせることでしょう。

このような密度の濃い集中講義のご提供により、データサイエンスの基礎に触れていただくことが、プログラムの骨子となります。

~仮説から実行へ~文化祭当日の成果

迎えた文化祭当日、入念な準備の甲斐もあり、学園祭データサイエンスのアプローチは大きな反響で受け止められました。

学生たちは出展者、来場者双方の立場からプログラムを積極的に体験しました。
リアルタイムで文化祭の動向を追えるというエンタメ性を楽しみながら、同時にデータ分析の面白さも知ることができたことでしょう。
加えて、自分たちの力で文化祭をより良いかたちにできた、という実感も得られた様子でした。

また先生方からは、「来場者の属性分布や動線、人気の展示の傾向といった“今まで取得できなかったデータ”が得られた」と高評価をいただきました。

今後はイベント当日で得られた豊富なデータを基に取り組みの効果を検証する段階も含め、長期的なサポートをさせていただくつもりです。

本プログラムの意義と今後への期待

今回の郡山北工業高校での実施により、学びラボとしてこれからより多くの学校へ本プログラムをご提供できるという手ごたえが得られました。

あらためて、LINEやGoogleスプレッドシートといったIT技術を学園祭というイベントで活用するというこれまでにない発想から、
データサイエンス教育の新たな可能性が見いだせたように感じています。

学校目線では、学園祭データサイエンスを取り入れることで、将来的に分析対象となるデータが蓄積されていき、さらに多年度にわたるフィードバックの活用といった長期的なメリットもご提供できるかと考えます。

ぜひご関心をお持ちいただいた学校関係者のみなさまに、本プログラムの導入をご検討いただければ幸いです。

また学びラボではその他にも3DCGやプログラミングといったデジタルスキル教育のカリキュラムをご提供しておりますので、そちらもご検討いただけましたら何よりです。

それではお読みいただきありがとうございました。
ぜひ今後とも学びラボの活動へのご支援をよろしくお願いいたします。

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