10月15日に藤村女子高等学校にて、一年生に向けてデジタル・クリエイティブ授業が行われました。
全4回の実施となる高校生の授業ですが、初日はプログラミングツールのViscuitを使って、自分で描いた絵を動かしてみるという内容でした。

Viscuitで簡単にできるビジュアルプログラミングの魅力

講師は3Dデザイナーとしてご活躍されるあやこ先生。教員免許をもちながら、美容師やプログラミング講師といった多彩な活動をなさっています。
そんなあやこ先生の自己紹介を聞いて生徒たちも強く興味をひかれた様子でした。実社会で活躍する講師の姿から刺激を受けてもらうことも、とても喜ばしいことです。

さて、今回の授業ではiPadを用います。
ICT教育の現場では、生徒一人一人にiPadをはじめとしたデジタルデバイスを支給することは一般的になりつつあります。とはいえ、学びラボが実施するようなクリエイティブ分野での活用事例はまだそれほど多くはないようです。

そしてそのようなクリエイティブ分野において、iPadが秘めたポテンシャルを大きく活かせるものの一つがビジュアルプログラミングです。
ビジュアルプログラミングとは、文字通りアイコンやブロックなどの視覚的なオブジェクトを組み合わせることでプログラムを作成する手法のことです。
この方法によれば、難しいプログラムを自分で書く必要はありません。

Viscuitもまたタッチペンで絵を描くだけで簡単にプログラミングに挑戦できる優れもの。描いた絵を「メガネ」というアイテムの中に配置することで、それぞれの位置関係に応じて画面の中でイラストを動かすことができます。


はじめにお手本として、講師のあやこ先生が描いた絵を動かすプログラミングの実演をすると、生徒もそれにならって絵を描き始めました。
最初は横向きの三角形や直線の先に丸がついたマッチ棒のような単純な図形からですが、それでも自分が描いたものがそのまま自動的に動き出すという面白さは変わりません。


いつの間にか夢中になってツールと向き合う生徒たち。
簡単とはいえ、プログラミングをする上では思い通りの結果にならないこともしばしばあります。そしてそこには必ずなにか論理的な誤りがあるはず。
なぜうまくいかないのか、自分が作ったプログラムのどこに原因があるのか。
それを考えてトライアンドエラーを繰り返すことで、論理的な思考力が養われます。

ビジュアルプログラミングで体験する「楽しい」「面白い」という感動

またViscuitは絵を動かすだけでなく、イラストの角度や色が時間経過とともに変わるようにプログラムできるため、規則的に色や形が変化していく美しいアニメーションを展開することも可能です。

つづいて自由制作の段階に移ると、頭に浮かんだイメージを真っ白なキャンバスに描くように、それぞれが思い描くアイデアを盛り込んで制作に取り掛かります。
「自分らしい作品を作りたい!」という意欲が自ずと湧きあがっている様子に私たちも嬉しくなりました。
またどの作品からも型にとらわれない発想力が伺え、ときには予想を超える斬新なアイデアに驚く場面も。

一台のiPadとツール、そして上手く手ほどきしてくれる講師の存在さえあれば、生徒たちは自分の中に秘められたクリエイティビティを存分に発揮できることがわかります。

これからの時代に求められるのは人間らしい『創造力』

そうして授業も終わりに差しかかったとき、あやこ先生が生徒たちに話した、この授業で伝えたかったこと。
それは、「AIがどんどん進化していったとしても、なにかを美しいと感じたり、楽しい、面白いと感動することは人間の心にしかできない」というメッセージでした。
作品を作ることを通して一人一人が覚えた感動を大事にして、その気持ちを忘れずにいてほしい。その感動から生まれるアイデア、創造力こそがこれからの時代に必要になる。
そんな子どもたちへの思いがこもった言葉とともに、初回授業は幕を閉じました。

さて、次回からは中学校でも扱ったTinkercadの授業です。
ますます発展的な内容となっていく高校のデジタル・クリエイティブ授業、ぜひ次回のご報告を楽しみにお待ちください!


藤村女子中学・高等学校ではさまざまな先進的な取り組みを展開されています。
同校の取り組みについては、公式のHPで詳しく知ることができます。以下のリンクよりご覧ください。
>>藤村女子中学・高等学校HP

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当法人は「創造の力でみんなを元気にする」をミッションに掲げ、子どもに向けてデジタルクリエイティブスキルやコミュニケーション力といった幅広い分野の教育を届ける活動を主軸とする組織です。
日頃よりオンライン・オフラインを問わず、現役クリエイターによる実践的な教育プログラムを展開しています。
また、社会を生き抜く力に主眼を置いた小中学生向けのオンラインの習い事「そらいろぱれっと」を運営し、未来を担う次世代の教育に力を注いでいます。

そして広く社会に向けても価値ある学びを提供する努力を私たちは惜しみません。各地のイベント会場やフリースクールといった場に赴き、地域社会の発展に資する魅力的な学習体験を提供しています。
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